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式が終わるまでずっと、
頭の中から白い運動靴が消えませんでした。
それから数年がたちました。
父が危篤との連絡を受け、
急いで病院に駆けつけました。
家族が見守るなかで、
父がわたしの手をにぎりながら言いました。
「お前は自分の夫を大切にしなさい。
お父さんはね、お前の結婚式で
お前の手を取って式場に入る自信は無かった。
でも、お前の夫が毎日訪ねてきてくれては
励ましてくれて・・・
ころぶと危ないからって、
運動靴まで買ってくれたんだ」
わたしは胸がいっぱいになって、
何もいえませんでした。
すっかりすりきれた白い運動靴。
父は、その靴をもう一度履くことも無く、
静かに息を引き取りました。
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「世界でいちばん大切な思い 」
イ・ミエ (著), パク・インシク (著),
笛木 優子 (翻訳)
東洋経済新報社より
家族の愛情に深く感動しました。
お父さんに履かせた人。
とっても素敵な人ですね。
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